エキナセアに関する4つの論文をピックアップ&まとめ

エキナセアに関する4つの論文をピックアップ&まとめ

エキナセアはヨーロッパでは古くから使われている天然ハーブです。

自然療法で有名なアンドルー・ワイル博士のナチュラルメディスンでも取り上げられており、自然治療の効果的なハーブとして人気です。

風邪の予防と治療のためのエキナセア

出典:Echinacea for preventing and treating the common cold.

この研究では、エキナセアが風邪の予防や治療に有効かどうかを評価するための実験でした。

結果、エキナセアは風邪の発生率を低下させることができると示されました。

また、エキナセアを風邪の初期症状が現れた段階で摂取することにより、症状が重症化することを防ぐ働きがあることも示されました。

しかし、この研究のみでは、エキナセアが風邪の治療に有効かどうかについての結論は出せていません。

当研究の使用方法や使用されたエキナセアの種類などにバラツキがあったためです。

この研究は、エキナセアが風邪の予防に一定の有効性があることを示唆しましたが、風邪の治療自体にエキナセアが有効かどうかについてはさらに多くの研究が必要であると締めくくられています。

エキナセアの薬効について

出典:Medicinal properties of Echinacea: a critical review.(2003)

この研究は、エキナセアがマクロファージを活性化することによって、免疫系の機能を改善する可能性について調べた研究です。

研究では、マウスのマクロファージを用いて、エキナセアの抽出物がマクロファージの活性化に及ぼす影響を評価。

活性化されたマクロファージは、細菌などの病原体に対して攻撃的な役割を果たすことが観測されています。

研究の結果、エキナセアの抽出物がマクロファージを活性化することが示されました。

特に、エキナセアの抽出物を特定条件で処理したマクロファージは、生物学的に活性の高い窒素種(NOやROSなど)を産生し、細菌に対してより強く攻撃的な反応を示しています。

結論としてはエキナセアがマクロファージを活性化することで、免疫系を改善する可能性があることを示唆しました。

しかし、対象がマウスのみでの研究であり、人体へ同様の影響、結果になるかどうかにについてはより詳細な研究が必要であると締めくくられています。

風邪や上気道感染症の予防のためのエキナセア

出典:Echinacea for the prevention and treatment of upper respiratory tract infections: A systematic review and meta-analysis(2019)

エキナセアは、上気道感染症(URTIs)の予防や治療によく使用されるハーブサプリメントです。

この研究は、エキナセアがURTIsの予防や治療に有効かどうかを評価するために行われました。

3066人の参加者を含む26のランダム化比較試験(RCT)が含まれます。

研究では、茎、根、全体植物から抽出したエキナセアのさまざまな部位や形態が使用されました。

分析の結果、エキナセアは、URTIsの予防に関しては有効な効果は観測されませんでした。

ただし、URTIsの再発率は低下させています。

全体的なまとめとして、この研究では、エキナセアがURTIsの再発率を低下させる効果がある可能性はありますが、予防または治療する目的としては効果的でないことを示唆しています。

ただし、エキナセアの効果的な形態や投与量を特定するためにはより高品質な研究が必要としています。

風邪の予防と治療のためのエキナセア

出典:Evaluation of echinacea for the prevention and treatment of the common cold: a meta-analysis(2007)

エキナセアが風邪の治療に有効であるかどうかを評価するために、ランダム化、二重盲検、プラセボの臨床試験が行われました。

研究では、323人の成人患者が風邪の症状を抱えている際、エキナセアの液体エキスまたはプラセボを14日間投与し検証されました。

結果、エキナセアを投与されたグループでは、プラセボを投与されたグループよりも風邪症状の総スコアが低くなったことが示されました。

サブグループ分析では、エキナセアが特定の人口群(免疫機能の低下した人々など)に対して効果的である可能性があることが示唆されましたが、これらの結果にはばらつきがあり、一定の成果は得られていません。

総合的な評価としてはエキナセアが風邪の予防および治療に有効であることを支持する十分なエビデンスはないことを示唆しています。

研究者たちは、この結果によってエキナセアが風邪の症状を軽減するために有効である可能性は示唆しているものの、より多くの研究が必要であると結論付けています。

エキナセアは結局有効なのか?!

アンドルーワイル博士(ナチュラル・メディスンで有名なドクター)は2015年に出版したワイル博士のメディカルハーブ相談室において『結局エキナセアは有効なの?』という質問に対して次のように語っています。

14件の初期研究をレビューした結果、エキナセアは風邪の罹患率を56%低下させ、罹患期間を1.4日短縮する効果がある、という結論に辿り着きました。
これが現時点でエキナセアに関して私が言えることですね。

ワイル博士のメディカルハーブ相談室

エキナセアに関する研究の大部分はドイツで実施されており、エキナセアが持つとされる抗ウイルス作用、抗菌作用、免疫増強作用もドイツにおいては証明されています。

米国での研究では意見が分かれる傾向にあるようです。

また、ワイル博士は『エキナセアの長期使用は免疫系を過剰に刺激するのは本当ですか?』という質問に対して次のように回答しています。

私は、エキナセアの長期的な使用で免疫系が過剰に刺激されるということを示した研究論文を目にしたことはありません。
中略
エキナセアの長期使用(10日前後以上)はおすすめしませんが、長期的に服用したとしても、問題が起こることはほとんどないと思います。

ワイル博士のメディカルハーブ相談室

なぜワイル博士は長期使用をおすすめしていないんでしょうか。

ドイツではエキナセアの使用は8週間を超えないようにという記述もありますが、これは8週間を超えると何か問題が起こる、または、副作用が生じるという意味ではなく、8週間までの安全が確認されているということだそうです。

総合的にエキナセアに関しては科学的根拠と言えるような効果の裏付けにはまだまだ研究が足りていないと言えるのではないかと思います。

ただ、ナチュラルな暮らし、癒しの暮らしのお供として、筆者はエキナセアを常備薬として備蓄しています。

少し風邪を引いたなと思った時にはエキナセアと蜂蜜レモンしょうがスープで治しますが、このダブルパンチで回復しなかった風邪症状はいまのところありません。(個人の感想であり科学的根拠はありません)

みなさんの参考になれば幸いです。

こうたろう
こうたろうこうたろう
音大を卒業後ピアニストとして活動。
日本で活動後北欧スウェーデンへ。
アーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。
その後ドイツ・ケルンに渡りAchim Tangと共にアルバム作品制作。
帰国後、金田式DC録音の第一人者:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入り。
独立後音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現:Kotaro Studio)」を結成。
タンゴやクラシックなどアコースティック音楽作品を多数プロデュース。
大阪ベンチャー研究会にて『芸術家皆起業論~変化する社会の中、芸術家で在り続けるために』を講演。
その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。
村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。
祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。
現在はKotaro Studioにて『あなたのためのアートスタジオ』音と絵をテーマに芸術家として活動中。
2023年より誰かのための癒しの場所『Curanz Sounds』をプロデュース。
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