心が辛いとき、静けさを取り戻す4つの癒しの方法

心が辛いとき、静けさを取り戻す4つの癒しの方法

心理学が教える、神経系を整える実践的ガイド

突然ですが、皆さんは「もう無理だ」「辛すぎる」と感じたことはありませんか?友達の家族が亡くなったり、大切な人が事故に遭ったり、自分や家族が病気になったり……人生には予想もしなかった困難が突然やってくることがあります。そんなとき、悲しみや不安、恐怖、絶望といった感情の波が押し寄せてきて、どうしていいか分からなくなってしまいますよね。

今日は、アメリカの心理学専門誌『Psychology Today』に掲載された研究をもとに、辛い状況の中でも心を落ち着かせ、前に進むための科学的な方法をご紹介します。

感情との向き合い方:抑え込むのも、飲み込まれるのも良くない

辛いことが起きたとき、私たちは2つの極端な反応をしがちです。1つは、感情を無視したり抑え込んだりすること。もう1つは、感情に完全に飲み込まれて何も手がつかなくなってしまうことです。

感情を抑え込むことは、その場をしのぐためには役立つかもしれませんが、長期的には心と体の健康に悪影響を及ぼすことが研究で分かっています。一方、感情に圧倒されてしまうと、前に進むことが難しくなります。どちらも、ストレスに対する人間の自然な反応なのです。

私たちの神経系(自律神経)は、危険を感じると「戦う」「逃げる」「固まる」という反応を自動的に起こして、私たちを守ろうとします。でも、この反応がずっと続くと、心も体も疲れ果ててしまうのです。

注意を向ける場所を選ぶ力

辛い状況や最初の感情的な反応を選ぶことはできないかもしれません。でも、「どこに注意を向けるか」は選ぶことができます。

神経系に「安全だよ」というサインを送るものに注意を向けると、自分への優しさ、冷静さ、物事を受け入れる力、問題を解決する力といった内側の資源が生まれてきます。そして、それらが辛い感情と一緒に存在できるようになるのです。

心を落ち着かせる4つの実践的な方法

1

個人的な主体性を持つこと

「個人的な主体性」とは、「自分にできることは何か?」を見つけることです。たとえ、とても小さなことでも構いません。

研究によると、自分の影響力が及ぶ範囲を認識することで、不安やストレスが減ることが分かっています。「コントロールできない」という感覚は神経系にとって脅威ですが、「自分にできることがある」という感覚は、神経系を落ち着いた状態に戻してくれるのです。

具体例:

  • 病気について情報を集める
  • 苦しんでいる人にサポートを提供する
  • 専門家の助けを求める
  • 散歩をする、栄養のある食事をとる
  • 瞑想やリラクゼーションを実践する

小さな自己ケアの行動が、困難に立ち向かうエネルギーを与えてくれます。

2

社会的なつながりを持つこと

困難に直面して神経系が乱れているとき、私たちはしばしば「自分一人で何とかしなければ」と孤独を感じがちです。でも、大切な人のそばにいると、感情的に良い気分になるだけでなく、神経系が生理学的なバランスを取り戻すことができます。これを「共同調整(コレギュレーション)」と呼びます。

あなたの周りにいる人たちを思い浮かべてみてください。それぞれの人が、あなたに異なる種類のサポートを提供してくれるはずです。

  • あなたを笑わせてくれる人
  • 慰めてくれる人
  • 批判せずにただ話を聞いてくれる人
  • 具体的なアドバイスをくれる人

今、自分が最も必要としているサポートは何かを考えて、その人に連絡を取ってみましょう。小さなグループ活動やコミュニティの一員として感じることが、辛い瞬間を乗り越える大きな助けになります。

3

EFTタッピング

神経系が興奮状態にあるとき、心と体の両方のバランスを取り戻すために、心身療法を使うことが非常に役立ちます。神経系が高い警戒状態から落ち着くと、より多くの可能性が見え、より適切な行動を取ることができ、受け入れる力や幸福感が生まれます。

最近注目されている方法の1つが、「感情解放テクニック(EFT)タッピング」です。この方法についての研究は、ストレス、不安、うつ病などを軽減するのに非常に効果的であることを示しています。

EFTの実践方法:

体の特定のツボ(経絡のポイント)を指で優しく叩きながら、特定のフレーズを言います。

  • 第1段階:自分が感じていること(辛い感情、体の緊張、不安な考えなど)を認めて名前を付ける
  • 第2段階:前向きな対処の言葉を口にして、内側の資源を強化する
    • 「私はゆっくりと心を静めることを選びます」
    • 「呼吸するたびに、体にリラックスしても安全だと教えています」
    • 「この不安を観察し、それが通り過ぎるのを許します」
4

心を養うものに気づくこと

私たちは1日の中で、視界や注意の範囲に何百、何千という情報が入ってきます。でも、実際に取り込める情報はほんのわずかです。私たちは「自動操縦モード」に陥りやすく、物事を本当に見ることなく見過ごしてしまうことがあります。

人生の困難の真っただ中では、こうした小さなことが、辛い瞬間を乗り越える大きな助けになります。私たちは、自分を養い、支え、慰めてくれるものに気づく練習ができるのです。

心理学者リック・ハンソンの研究によると、良い体験を繰り返し体に取り込むことで、脳の「ネガティビティ・バイアス(否定的なことばかりに注目して肯定的なことを見逃す傾向)」を相殺できることが分かっています。

良いものを取り込む短い実践は、味わう力、自己への思いやり、気分の改善、感情の再評価といった内側の資源を築くのに役立ちます。

日常で気づける「心を養うもの」の例:

  • 温かい飲み物を飲んでいるときの心地よさ
  • 窓から差し込む柔らかな光
  • 友人の優しい言葉
  • 好きな音楽の旋律
  • 深呼吸をしたときの体の落ち着き

辛い感情が消えるわけではないけれど

これらの戦略を使って、心を養い支えるものを招き入れ、神経系に安全のサインを送ると、辛い感情が完全に消えるわけではありません。でも、少しだけ耐えやすくなるのです。

そこから、冷静さ、勇気、受け入れる力、その他の内側の資源を持って、困難に立ち向かうことができるようになります。

人生には予測できない辛いことが起こります。でも、私たちには「どこに注意を向けるか」を選ぶ力があります。小さな一歩でも、自分にできることを見つけ、人とつながり、心と体のバランスを取り戻し、日々の中の小さな良いことに気づくこと。これらが、辛い時期を乗り越えるための大きな力になるのです。

出典:Psychology Today “4 Ways to Steady When Life Feels Hard”