ジョルジュ・ラコフスキー（Georges Lakhovsky、1869年9月17日 – 1942年8月31日）は、ロシア生まれで後にフランスで活動した技術者、発明家、著述家です。

彼は生物の健康と電磁波の関係に強い関心を持ち、独自の「波動理論」を提唱しました。この理論に基づき、彼は「多重波オシレーター（Multiple Wave Oscillator、MWO）」を開発し、病気の治療に応用しようと試みました。

彼は第一次世界大戦中にはフランスのためにロシアと交渉を行い、フランスで不足していたメチルアルコールの確保に貢献しました。

その功績が認められ、フランス政府からレジオンドヌール勲章を授与されています。

波動理論と多重波オシレーター

ラコフスキーは、すべての生物が固有の振動数を持ち、これが健康状態と密接に関連していると考えました。

彼の理論では、外部からの有害な電磁波やその他の要因が細胞の自然な振動を乱し、病気を引き起こすとされます。

この理論に基づき、彼は多重波オシレーターを開発しました。

この装置は、広範な周波数帯の電磁波を発生させ、細胞の振動を正常化し、健康を回復させることを目的としています。

研究のきっかけ

ラコフスキーが研究の転機を迎えたのは1924年、スペインの無線局での出来事でした。

無線送信中、鳩が方向感覚を失って旋回する姿を見て、無線の高周波が鳩に影響を与えていると考えたのです。

これをきっかけに、彼は生物の細胞と電気回路の類似性に着目し、細胞内の染色体構造が一種の電気回路として振動し、正常な健康状態にあるときに固有の波長を発していると仮説を立てました。

彼はまた、病気の原因は、外部から侵入した細菌が健康な細胞の振動を狂わせるために生じると考えました。

この考えは、当時の医学界において非常に先駆的で、波動と電磁気学を取り入れた「波動理論」の基礎となりました。

多重波オシレーターの構造と機能

多重波オシレーターは、同心円状のリングアンテナで構成されており、各リングには180度対向する位置にキャパシタンスギャップが設けられています。

この構造により、広範な周波数の電磁波を同時に発生させることが可能となります。

装置は高電圧・高周波のインパルスを供給する発振器（通常はスパークギャップを持つテスラコイルやオーディンコイル）によって駆動されます。

ラコフスキーの発明

ラジオ・セリュロ・オシレーター

ラコフスキーは、自身の理論を実証するために、波長約2メートルの電磁波を放射する「ラジオ・セリュロ・オシレーター」を開発しました。

この装置を使って人工的に腫瘍を作ったゼラニウムを実験的に治療したところ、腫瘍が2週間ほどで縮小し、最終的には消失したと報告されています。

マルチウェーブオシレーター

さらに研究を重ねたラコフスキーは1931年、改良版である「マルチウェーブオシレーター（MWO）」を発明しました。

この装置は、2つの同心円状のリングがさまざまな高周波を放射することで、人体に複数の波長が作用する仕組みでした。

報告によると、MWOは基底細胞ガンや中耳炎、前立腺肥大、ぜんそく、不眠症、神経痛などの症状の緩和に有効とされ、欧州各地で使用されるようになりました。

亡命とMWOの衰退

第二次世界大戦が勃発しフランスがドイツに占領されると、ラコフスキーはアメリカに亡命し、MWOはニューヨークの病院で実験的に使用されました。

しかし、彼が1942年に亡くなると、科学的根拠がないとみなされてMWOは病院から姿を消していき、アメリカでも電子治療に対する規制が影響して、その普及は抑えられることになりました。

再発見とその後の評価

1960年代、アメリカの技術者ボブ・ベックが長らく放置されていたMWO（テスラコイルを使った改良版）を修理し、その治療効果を検証しました。

ベックの実験では、MWOが症状の緩和に一定の効果を示し、一時的に再評価されましたが、当時（現代であっても）科学的な裏付けが不足し、取れなかったため、広く認められることはありませんでした。

ラコフスキーの遺産と現代の評価

ラコフスキーが開発したMWOは、再現性や取り扱いの難しさから、代替医療や一部の研究者によってのみ利用される状況が続いています。

その理論と技術は、丸山ワクチンのように一般の医療とは異なる分野に位置付けられていますが、科学技術が発展するにつれ、その有効性が再評価される可能性もあります。

ジョルジュ・ラコフスキーが考案したマルチウェーブオシレーターは、現代のエネルギー医学の先駆けともいえる装置で、病気の原因を細胞振動の異常と捉える革新的な理論に基づいていました。

彼の波動理論は科学的に証明されたとは言えないものの、ラコフスキーの理論と発明が新しい医療技術にどのように応用されるか、今後の研究に期待が寄せられています。