空海は日本に密教を伝えたえらーい人。
その教えの中にはさまざまな宗教観が混ざり合ったといわれており、景教の思想も混じっていると考える宗教学者さえいます。
十住心とは、この世界の心のレベルのお話。
第4心から仏教に目覚めると言われていますし、その先法界万徳心の世界へは密教だけがアクセス可能な方法を提供できるといっています。
十住心
番号 | 名称 | 説明 |
---|---|---|
1 | 異生羝羊心(いしょうていようしん) | 一般的な動物的本能や感情に支配された心 |
2 | 愚童持斎心(ぐどうじさいしん) | 倫理的な規範を持ち、欲望を抑制する心 |
3 | 嬰童無畏心(えいどうむいしん) | 子供のように無邪気で恐れのない心 |
4 | 唯蘊無我心(ゆいうんむがしん) | 存在は五蘊から成り立ち、我が存在しないことを知る心 |
5 | 抜業因種心(ばつごういんしゅしん) | 過去の業因を根絶し、解脱を目指す心 |
6 | 他縁大乗心(たえんだいじょうしん) | 他者との関係を重視し、利他行を実践する心 |
7 | 覚心不生心(かくしんふしょうしん) | 真理を悟り、心が迷わない境地 |
8 | 一心四句心(いっしんしくしん) | 全ての現象が空であることを理解する心 |
9 | 秘密荘厳心(ひみつしょうごんしん) | 真理の象徴としての仏の荘厳を理解する心 |
10 | 法界万徳心(ほっかいまんとくしん) | 全ての存在が法界の徳を持つことを悟る心 |
ただし、これもその当時のお話であり、現代ではたくさんのスピリチュアル的な情報が得られますので、特定の宗教団体に加入しなければ叡智を得られないといったことはありません。
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Contents
十住心論
十住心論とはは、平安時代の日本において、弘法大師空海(774-835)によって書かれた仏教哲学の重要な著作です。
この論文は、空海の思想体系をまとめたものであり、仏教の修行者が悟りに至るための心の段階を10段階に分けて説明しています。
空海の生涯と背景
空海の生い立ち
- 774年: 空海は讃岐国(現在の香川県)で生まれる。
- 青年期: 儒教や道教、仏教など多方面にわたる学問を修める。
- 804年: 唐(中国)に留学し、密教を学ぶ。
唐への留学と密教の受容
- 青龍寺での修行: 唐の青龍寺で恵果阿闍梨(けいかあじゃり)から密教を学び、金剛頂経や大日経などの密教経典を受け取る。
- 帰国後の活動: 帰国後、空海は高野山を開創し、日本に密教を広める。
空海は唐の青龍寺で恵果阿闍梨に出会った時、恵果阿闍梨から「あなたが来ることを知っていました」と言われ、すべての教えを授けると言われたそうです。
そんな空海も釈迦同様悟りを感じる経験をしているわけです。
空海の年表
年 | 空海の出来事 | 同時代の日本史 |
---|---|---|
774年 | 空海、讃岐国に生まれる | 奈良時代 |
790年 | 山林修行を始める | 桓武天皇が仏教改革を推進 |
792年 | 15歳で大学寮に入学 | 桓武天皇が長岡京に遷都 |
793年 | 修行のため山林に籠る | 桓武天皇が平安京への遷都を決定 |
804年 | 遣唐使として唐へ渡る | 菅原道真が生まれる |
805年 | 青龍寺で恵果阿闍梨に師事 | 最澄が帰国し、天台宗を広める |
806年 | 帰国し、密教を広める | 桓武天皇崩御、平城天皇即位 |
810年 | 薬子の変に巻き込まれるも無事 | 薬子の変(平城天皇の変) |
816年 | 高野山に金剛峯寺を開創 | 嵯峨天皇の治世 |
819年 | 高野山に根本大塔を建立 | 嵯峨天皇が風雨災害に対する祈祷を命じる |
821年 | 四国八十八箇所巡礼を創始 | 嵯峨天皇が勅願寺建立を命じる |
823年 | 嵯峨天皇から東寺を賜る | 淳和天皇即位 |
824年 | 東寺で密教の教えを広める | 淳和天皇が班田収授法を施行 |
828年 | 京都に綜芸種智院を創設 | 淳和天皇が天台宗と真言宗を保護 |
834年 | 密教の法具を整理し、体系化 | 淳和天皇が退位し、仁明天皇即位 |
835年 | 入滅(62歳) | 淳和上皇が平安京の寺院を巡礼 |
921年 | 「弘法大師」の諡号を賜る | 醍醐天皇の治世、延喜の治 |
十住心論の成立
空海が十住心論を執筆した目的は、日本における密教の理解と実践を深め、仏教徒が悟りに至るための道筋を示すことでした。
特に、空海は仏教の各宗派の教えを統合し、体系化することに注力しました。
- 執筆時期: 十住心論はおそらく820年代に書かれたと考えられています。
- 場所: 空海が高野山や京都の東寺などで活動していた時期に執筆されたと推測されます。
空海が説いた十住心は、修行者の精神的成長と悟りに至るための10段階の心の状態を示しています。以下に、各階層の特徴を現代語訳しながら解説します。
1. 異生羝羊心(いしょうていようしん)
現代語訳と解説
「異生羝羊心」とは、動物のように本能や欲望に支配された心を指します。この心の状態は、自己中心的で、他者の感情や利益を考慮せずに行動することが特徴です。
解説
この段階では、倫理的な行動規範がなく、欲望に基づいた行動をとります。修行者はまず、この本能的な心を制御することから始めなければなりません。戒律を守り、道徳的な行動を意識することが重要です。
2. 愚童持斎心(ぐどうじさいしん)
現代語訳と解説
「愚童持斎心」とは、子供のように純粋で無垢な心を持ちながらも、戒律を守ることで欲望を抑制する心の状態を指します。
解説
この段階では、倫理的な行動規範を守ることで、自己の欲望を抑制します。基本的な戒律を守り、精神的な成長を促進します。修行者は、自己制御を学び、欲望に支配されない心を養います。
3. 嬰童無畏心(えいどうむいしん)
現代語訳と解説
「嬰童無畏心」とは、赤ん坊のように無邪気で恐れのない心の状態を指します。この段階では、純粋な心を持ちながらも、恐れや不安に支配されないことが重要です。
解説
この心の状態を保つために、瞑想や心の浄化を行います。純粋な心を持ち、恐れや不安を取り除くことで、無邪気で平穏な心を養います。
4. 唯蘊無我心(ゆいうんむがしん)
現代語訳と解説
「唯蘊無我心」とは、全ての存在が五蘊(色・受・想・行・識)から成り立ち、我が存在しないことを理解する心の状態を指します。
解説
この段階では、五蘊の無常と無我を理解します。仏教の教義を学び、瞑想を通じて自己の本質を見つめることで、無我の境地に達します。
5. 抜業因種心(ばつごういんしゅしん)
現代語訳と解説
「抜業因種心」とは、過去の業因を根絶し、解脱を目指す心の状態を指します。この段階では、過去の悪業を反省し、善業を積む実践を行います。
解説
修行者は、過去の行為を見つめ直し、悪業を反省します。そして、善業を積むことで、業の影響から解放され、解脱を目指します。
6. 他縁大乗心(たえんだいじょうしん)
現代語訳と解説
「他縁大乗心」とは、他者との関係を重視し、利他行を実践する心の状態を指します。この段階では、他者の幸福を自らの幸福と考え、利他的な行動を取ります。
解説
大乗仏教の教えに従い、他者の利益を第一に考えます。利他行を実践し、他者の幸福を自らの幸福とする心を養います。
7. 覚心不生心(かくしんふしょうしん)
現代語訳と解説
「覚心不生心」とは、真理を悟り、心が迷わない境地を指します。この段階では、深い瞑想と智慧を養い、心が迷わない状態を目指します。
解説
修行者は真理を悟り、心が迷わない境地に達します。深い瞑想と智慧を通じて、心の静けさと洞察力を高めます。
8. 一心四句心(いっしんしくしん)
現代語訳と解説
「一心四句心」とは、全ての現象が空であることを理解する心の状態を指します。この段階では、全ての現象が空であることを理解し、実践します。
解説
般若心経や空の教えを深く学び、全ての現象が空であることを理解します。この理解を実践することで、心の解放を目指します。
9. 秘密荘厳心(ひみつしょうごんしん)
現代語訳と解説
「秘密荘厳心」とは、真理の象徴としての仏の荘厳を理解する心の状態を指します。この段階では、密教の教えと儀式を学び、実践します。
解説
密教の教えを学び、真理の象徴としての仏の荘厳を理解します。儀式や修行を通じて、この理解を深めます。
10. 法界万徳心(ほっかいまんとくしん)
現代語訳と解説
「法界万徳心」とは、全ての存在が法界の徳を持つことを悟る心の状態を指します。この段階では、全ての教えと実践を統合し、悟りの境地に達します。
解説
修行者は全ての存在が法界の徳を持つことを悟ります。全ての教えと実践を統合し、究極の悟りの境地に達します。
密教の教えと実践方法
では結局のところ法界万徳心(ほっかいまんとくしん)に到達するためにはどうすればいいのか?
具体的な方法があります。
空海は密教を学ばなければここに到達できないと豪語しているわけです。
やはり密教には法界万徳心(ほっかいまんとくしん)に到達する道標が記されているというわけなんです。
1. 大日経(だいにちきょう)の学習
大日経は、密教の根本経典であり、宇宙の本質と仏の悟りを説いています。
- 学習方法: 経典の読解と解釈を行い、講義や書籍を通じて理解を深める。
- 実践方法: 大日如来を中心とした瞑想や儀式を行う。
2. 金剛頂経(こんごうちょうきょう)の学習
金剛頂経も密教の重要な経典であり、金剛界の教えを説いています。
- 学習方法: 経典を読むことと、金剛界曼荼羅の構造と意味を学ぶ。
- 実践方法: 金剛界曼荼羅を観想する瞑想を行う。
3. 曼荼羅の観想
曼荼羅は、仏の世界を象徴的に表現した図であり、密教の修行において重要です。
- 学習方法: 曼荼羅の構造と各部の意味を学び、視覚的に理解する。
- 実践方法: 毎日曼荼羅を前にして観想し、集中力を高める。
4. 真言(しんごん)の唱和
真言は、仏の力を具現化するための言葉です。
- 学習方法: 真言の意味と発音方法を学び、正確に唱える練習を行う。
- 実践方法: 日常の中で真言を唱え、心の安定と集中を図る。
5. 瞑想と修行
瞑想と修行は、密教の実践において重要な役割を果たします。
- 学習方法: 瞑想の技法を学び、心の浄化と集中を目指す。
- 実践方法: 毎日定期的に瞑想を行い、自己の内面と向き合う。
6. 師からの教えを受ける
密教は口伝(くでん)が重要であり、師から直接教えを受けることが推奨されます。
- 学習方法: 尊敬する師を見つけ、その指導のもとで修行を行う。
- 実践方法: 師の教えに従い、日々の修行を忠実に実践する。
法界万徳心に到達するためのステップ
- 経典の学習: 大日経や金剛頂経を学び、仏教の深い教えを理解する。
- 曼荼羅の観想: 曼荼羅を使った瞑想を行い、心を集中させる。
- 真言の唱和: 日常的に真言を唱え、心の安定を図る。
- 瞑想の実践: 定期的な瞑想を行い、内面の浄化を目指す。
- 師からの教え: 尊敬する師から直接教えを受け、その指導に従う。
空海の名言
1.「心の鏡を磨けば、真理の姿が映る」
この名言は、心を清めることで、真理を見極めることができるという意味です。瞑想や修行を通じて内面を磨く重要性を説いています。
2.「一切の悪行を断ち、善行を積むこと」
仏教の基本的な教えである、悪行を避け、善行を行うことの重要性を示しています。道徳的な生き方を奨励しています。
3.「知識は無限であり、学び続けることが大切」
空海は生涯を通じて学び続けました。この言葉は、知識の探求と継続的な学習の重要性を強調しています。
4.「他者のために生きることで、自分も幸せになる」
利他主義の教えを説いた名言です。他者に奉仕することで、自分自身も幸せを得るという考えを示しています。
5.「人生は旅であり、目的地は悟りである」
人生を修行の旅と捉え、その最終目的地を悟りとする視点を提供しています。常に成長と進化を目指すことを奨励しています。
6.「瞑想は心の安らぎをもたらす」
瞑想の重要性を説いた言葉です。心の平静と集中を得るために、日々の瞑想が不可欠であることを示しています。
7.「一日一善を心がけよ」
毎日少しでも善行を行うことの大切さを説いています。小さな善行が積み重なって大きな結果を生むことを示唆しています。
8.「過去を悔やまず、未来を恐れず、今を生きる」
現在に集中し、過去の後悔や未来への不安にとらわれない生き方の重要性を説いています。
9.「本当の知恵は知識を超えたところにある」
知識だけではなく、経験や直感を含む総合的な智慧の重要性を示しています。実践を通じて得られる深い理解を重視しています。
10.「笑顔は心の花である」
笑顔の力を称賛する言葉です。笑顔が自分自身や周囲に与えるポジティブな影響を強調しています。