究極の音を求めた録音フロー

近年、録音の現場ではハイレゾPCMやDSDといった高音質フォーマットが広く普及していますが、本当に音楽の感動を最も良い形で伝えられる録音方法とは何でしょうか?

Curanz Soundsではヒーリング楽器の録音方法について、独自の技術を用いて収録しています。

この記事では、私が実践している「アナログ録音 → DSD → PCM」というフローについて、技術的・音楽的観点から徹底解説します。


なぜ今アナログ録音なのか?

私はまず、38cm/s 2トラックのオープンリールレコーダーで録音を行います。この速度はプロ仕様のスタンダードであり、以下の特長があります:

  • 周波数帯域:20Hz〜30kHz以上
  • S/N比:最大70dB前後
  • ワウ・フラッター:0.03%以下

さらに注目すべきは「サチュレーション効果」。これは磁気テープ特有の特性で、ピーク信号が滑らかに丸まり、耳に心地よいコンプレッション効果をもたらします。音楽の立体感や空気感がより自然に表現される理由の一つです。

DCマイクを使う理由とは?

私の録音では、アナログテープ録音時にもDC(直流駆動)マイクを使用しています。これは、マイクカプセルに印加する電圧を一定に保ち、より安定した動作を実現するためです。

DCバイアスをかけることで、以下のようなメリットがあります:

  • マイクの静電容量変化が安定し、S/N比が向上する
  • 応答性が良く、トランジェント(音の立ち上がり)に強い
  • 小さな信号でも忠実にピックアップできるため、アナログ録音との親和性が高い

とくに38cm/sのオープンリール録音では、きわめて微細な音の動きをテープに焼き付けるため、入力段のマイク精度が極めて重要です。DCマイクはその意味で、アナログの持つ繊細な表現力を最大限に引き出すための重要な要素となっています。


一見高性能なPCM録音の盲点

たとえば24bit/96kHzのPCM録音では、理論上の周波数帯域は48kHz、S/N比は120dBに達します。しかし実際の録音では「クロックジッター」や「AD変換時の誤差」により、時間軸の不安定性が音像の立体感やトランジェント(音の立ち上がり)に悪影響を及ぼします。

クロックジッターとは、デジタルサンプリングのタイミングが微細にブレる現象。これにより、音の輪郭がにじんだり、ステレオ定位に曖昧さが生じたりします。


なぜDSDを経由するのか?

DSD(Direct Stream Digital)は1bitながら2.8MHz〜11.2MHzという極めて高いサンプリング周波数を持ち、時間軸の精度に優れています。アナログに近い波形を持ち込むには理想的なデジタルフォーマットです。

ただしここで重要なのは、何をDSDに録音するか? という点です。マイクから直接DSD録音を行うと、その前段でIC的に処理された信号が入ってしまうため、音の“人間的な揺らぎ”が失われることがあります。

対して、アナログテープに録音された信号を再生ヘッドで取り出し、電圧信号としてDSDに取り込むというフローであれば、演奏者の息遣いや空間の空気感まで含めた“連続的な表現”をそのままDSDに封じ込めることが可能になります。

この「磁気→電圧→DSD→PCM」という一連の流れは、実際には“音の流れを時間軸ごと記録する”極めて有機的なプロセスです。


最終フォーマットとしてのPCM

PCMは編集性と配信の互換性に優れています。YouTubeや配信サイト、多くの再生機器で扱いやすいのは圧倒的にPCMです。

だからこそ、最初からPCMで録るのではなく、「アナログ→DSD」という高情報量の段階を経てからPCMに変換するのが最良なのです。まるで高精細なネガフィルムからプリントを焼くように、最初の素材が豊かであればあるほど、最終的な音にも深みとリアリティが宿るのです。


よくある疑問:「最初からPCM録音でもよくない?」

もちろん可能です。しかし、録音という行為は「どこで情報を失うか」が本質です。PCMでは録音時点で帯域や分解能に制限があります。

一方でアナログ録音では、最初に最大限の空間情報や音楽的ニュアンスを獲得できます。それをDSDで“非破壊的に”デジタル化し、必要に応じてPCM化することで、最も多くの要素を残したまま、実用的なフォーマットへ変換できます。


実際の比較と今後の展望

私は実際に「PCM直録音」と「アナログ→DSD→PCM」で録音した音源を比較して試聴していますが、その違いは明確です。空間の奥行き、音像の立体感、余韻の伸びに明らかな違いが出ます。

次回の記事では、DSD録音を高品質に行うためのA/Dコンバーターの選び方と接続方法について詳しく解説していきます。ぜひお楽しみに!


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