ご結婚されている皆様はもちろん、カップルの間でも「将来結婚したら寝室はどうする?」なんて会話が行われているかもしれません。

本日は夫婦の寝室問題について。

Profile

この記事を担当:音楽家 / 朝比奈幸太郎

1986年生まれ
音楽大学で民族音楽を研究。
卒業後ピアニストとして活動。
インプロビゼーション哲学の研究のため北欧スウェーデンへ。
ドイツケルンにて民族音楽研究家のAchim Tangと共同作品を制作しリリース。
ドイツでStephan Desire、日本で金田式DC録音の五島 昭彦氏から音響学を学ぶ。
録音エンジニアとして独立し、芸術工房Pinocoaを結成。
オーストリア、アルゼンチンなど国内外の様々なアーティストをプロデュース。
株式会社ジオセンスの小林一英氏よりC言語、村上アーカイブスの村上浩治氏より、写真と映像を学ぶ。
2023年からヒーリング音響を研究するCuranz Soundsを立ち上げる。
世界中に愛と調和の周波数を届けるため、癒しの音をCuranz Soundsにて発信中。

米国の睡眠アンケート

2023年3月、米国睡眠医学会のアンケート調査では、米国人の3分の1以上が、パートナーとは寝室を分けると答えていました。

ちなみに日本では、 2011年の調査(学術誌「日本建築学会計画系論文集」に掲載論文)では、寝室を分けると答えた夫婦は約22%となっていました。

筆者の場合は生まれ育った環境が両親、祖父母共に寝室は別だったため、むしろ「一緒に寝る人がいるのか?!」と驚いたほどでしたが、2011年の日本の調査をみると少数派だったということになります。

夫婦は一緒・・・のルーツ

例えば、古代ローマ時代、夫婦のベッドを意味する「lectus genialis」という概念がありました。

ローマ時代の夫婦は、お互いの親密なコミュニケーションのために、家の中のプライベートな空間に共有のベッドを1つもっていました。

ただし、必ずしも一緒になるための場所というわけではなく、寝るためのベッドはそれぞれ別にあることも珍しいことではありませんでした。

中世の時代になると、富裕層は、家が大きいので、家族一人ひとりが個室を持てていましたが、貧困家庭では1台のベッドを共有することが当たり前だったり、暖を取るためにより火の気に近い部屋で家族が一緒に寝たりしていました。

ルネサンス期では、夫婦専用の部屋が増えてきました。

王族や貴族の中では夫と妻が別々の寝室を持つことも多かったそうです。

夫婦は一緒に・・・というのは、中世以降に固まってきたといえるのかもしれません。

近代の寝室事情

ビクトリア朝時代では夫婦同床という概念が流行し、当たり前になりました。

しかし、19世紀後半になると、医学専門家が夫婦でベッドや寝室を分けることを推奨するようになっていきます。

米ニューヨークの医師ウィリアム・ウィティ・ホールや代替療法施術師のエドウィン・バウワーズといった著名な人物たちも、一人一台のベッドを推奨しており、バウワーズは、「1人ずつ別々のベッドで寝るのは、1人ずつ別々の皿で食事をするのと同じくらい大切」と主張していました。

1920年代は、ツインベッドが富とファッションの象徴にまでなっていました。

1950年代になると、夫婦でダブルベッド1台を共有するようになり、夫婦で同じ寝室にするという概念は、第二次世界大戦後に完全に確立されました。

マスターベッドルーム(夫婦の主寝室)という考え方が確立し、ベッドを別にすることは結婚生活の破綻を意味するといった風潮が主流になります。

寝室は分けるべき?

昨今だと、健康志向のなかでよりより睡眠状態を維持するために夫婦が別々に寝る習慣が注目されていると共に、むしろ寝室を同じにすることのデメリットまで注目されるようになります。

ニュージーランドにある「ベター・スリープ・クリニック」の臨床責任者兼睡眠心理学者のダン・フォード氏の意見では、「夫婦であっても独りで寝た方が快適だと感じる理由はたくさんある」と言っています。

例えば相手がいびきをかいたり、歯軋りで眠れないなどという睡眠の障害に感じる現象に関しては、10人に1人の割合で悩まされているといわれています。

これは、慢性的な不眠症を誘発するものだったりする場合もあり危惧されています。

「お互いの体内時計が大幅にずれていて、ベッドに入りたいタイミングが異なる夫婦もいます。それならば、相手の睡眠を邪魔しないように別々のベッドで寝た方がましだと感じるのです」

睡眠心理学者のダン・フォード氏

米ミシガン大学による研究

2024年1月8日付で学術誌「Current Biology」に発表された研究では、一緒に眠ることで睡眠の質が低下し、夫婦関係悪化につながる恐れがあることを示しています。

加えて、米カリフォルニア大学バークレー校の研究者が2022年8月に学術誌「PLOS Biology」に発表した研究では、「十分に睡眠がとれていない場合、他者に優しくしようとする行動が減る」という結果が出ています。

例えば、米国人教師のタミ・シャダックさんの例ですと、夫の睡眠時無呼吸症候群の影響で寝不足の日々を過ごしていましたが、感染症の流行にて、一時的に別の部屋で寝ることにしましたが、それ以来、元の寝室にはお互いが戻っていないという例もあります。

睡眠の科学はまだまだ未解明な部分は多くあります。

意識がない場合にお互いの夫婦仲が深められるのか?

みなさんはどう感じるでしょうか?

中世以降のように経済的な理由も一つあるかと思います。

冷暖房だって、部屋を一つにすればそれだけ節約に繋がります。

しかし、これも男女で冷房攻防が全世界で行われていると考えればお互いがお互いにストレスを感じる結果となってしまい、結果快適な睡眠を確保することは難しくなってくるでしょう。

同じ寝室で失う快眠性とストレスの増加を考えれば、別々の冷暖房費などは、微々たるものなのかもしれません。

スカンジナビアン・スリープ・メソッド

北欧などでは、同じ寝室で同じベットではありますが、布団をシングルサイズで分けることで、ストレスを最小限にするといったメソッドがあるそうです。

しかし、これはやはり暖を取るためには・・・という意識が強いでしょうか。

こうしてみると、やはり夫婦が同じ睡眠をシェアするのは難しいのかもしれませんね。