一粒万倍日とは、日本の暦注のひとつで、「一粒の籾が万倍に実る」という意味から、何かを始めると大きく実を結ぶとされる吉日です。

読み方は「いちりゅうまんばいび」または「いちりゅうまんばいにち」。

小さな種がやがて豊かな実りになるという、稲作に根ざした言葉です。

一粒万倍日とは

一粒万倍日とは、暦注のなかでも「選日(せんじつ)」と呼ばれる分類に属する吉日です。

大安や仏滅のような六曜とは別のしくみで決まり、「一粒の籾が万倍にも実る」という、田んぼの風景から生まれた呼び名のとおり、小さな始まりが大きく育つ日と考えられてきました。

この日はとくに、新しいことを始めるのに良いとされています。

開店や開業、仕事始め、財布の新調、結婚や入籍など、これから大きく発展させたいことのスタートに適した日取りです。

一方で、「増幅する」という性質は、良いことだけでなく悪いことも大きくするといわれます。

借金をしたり、人から物を借りたりすることは「苦労の種が万倍になる」として避けるべきとされてきました。

一粒万倍日の由来と歴史

一粒万倍日の起源は、農耕民族としての日本の暮らしに深く根ざしています。

一粒の種籾から万倍の稲穂が実る、その豊かさへの願いが暦注となったものです。

「一粒万倍」という言葉自体の由来には、ふたつの説が伝えられます。

ひとつは仏教経典の『大方便仏報恩経』にある「世間求利、莫先耕田者、種一万倍」(世の中で利を求めるなら、田を耕すより先はない。

一を種いて万倍す)という一節に基づくという説。

もうひとつは、中国唐代の詩人・李紳の漢詩「農を憐れむ」にある「粒粒皆辛苦」の精神が転じたという説です。

暦の上では、平安時代の貞観4年(862年)から江戸初期の貞享2年(1685年)まで日本で使われた宣明暦(せんみょうれき)の時代に、すでに記載があったと伝えられます。

ただし、貞享暦への改暦を機に公式な暦注からは外されました。

その後、明治6年(1873年)の太陽暦導入以降、民間の暦に再び掲載されるようになり、現在のように親しまれています。

なお、一粒万倍日は中国の原典(万年曆や通書)には見あたらず、日本独自に育まれた暦注であると指摘されています。

一粒万倍日の決まり方

一粒万倍日は、二十四節気で区切った「節月(せつげつ)」と、その日の十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)の組み合わせで決まります。

たとえば、立春から啓蟄の前日までは丑と午の日、啓蟄から清明の前日までは寅と酉の日というように、節月ごとにふたつの干支が割り当てられています。

この仕組みにより、一粒万倍日はひと月に5日から7日ほどと、暦注のなかでは比較的多く訪れます。

頻度が高いぶん、他の暦注(大安や天赦日などの吉日、不成就日などの凶日)と重なることも多く、吉日と重なればその効果が倍増し、凶日と重なると半減するといわれます。

ところで、この「節月」の考え方は、東洋の運命学でも重要な役割を果たします。

Curanz Soundsの四柱推命では、年と月の区切りを立春の節入り時刻で厳密に定め、古典『子平真詮』や『滴天髓』に基づいて命式を組み立てています。

一粒万倍日を決める暦の知恵も、そうした二十四節気の精妙な体系のうえに成り立っているのです。

命式や数秘、タロットの計算はすべて無料で、何度でもお使いいただけます。

一粒万倍日にしてはいけないこと

一粒万倍日は「増幅の日」です。

そのため、してはいけないこともいくつか伝えられています。

ひとつめは「借金をすること」です。

一粒万倍日に借りたお金は「苦労の種」となり、その苦労が万倍になるといわれます。

人から物を借りることも同様に避けたほうがよいとされています。

ふたつめは「争いごとや人間関係のトラブル」です。

この日に誰かと衝突したり、否定的な言動をとったりすると、わだかまりが大きく育つ恐れがあります。

なるべく心おだやかに、前向きな気持ちで過ごすことを心がけましょう。

みっつめは「ギャンブル性の高い投機」です。

お金を出すこと自体は一粒万倍日に良いとされますが、一か八かの大勝負は失うものも万倍になると考えられています。

あくまで堅実な投資や、将来を見すえた貯蓄のスタートに使うのが向いています。

一粒万倍日を活かす、やさしい使い方

特別な予定がなくても、一粒万倍日は日々の暮らしのなかで活かせます。

たとえば、新しい習慣を始める日にする。

運動や読書、勉強など、続けたいことの初日を一粒万倍日にあてると、気持ちよくスタートを切れるでしょう。

また、「お金を出す」のに良い日という性質を活かして、欲しかった本を買う、必要な道具をそろえる、誰かへの贈り物を選ぶ。

そんな小さな消費も、前向きな気持ちで行えば、一粒万倍日のやさしい後押しを得られると考えられています。

実際に今日は一粒万倍日なのか、あるいは自分の大切な日が一粒万倍日と重なるのかを知りたい方は、開運カレンダーで日々の吉日を確認することができます。大安や天赦日との重なりも一目でわかり、予定を立てるときの助けになるでしょう。

よくある質問

Q. 一粒万倍日には何を始めるといいですか

A. 開業や開店、仕事始め、財布の新調、結婚や入籍、銀行口座の開設など、「これから大きく育てたいこと」を始めるのに適しています。

日常生活では、新しい習慣のスタートや、前向きな気持ちでの買い物にも良い日とされます。

Q. 一粒万倍日に借金をするとなぜいけないのですか

A. 一粒万倍日は「増幅の日」であり、良いことも悪いことも大きくするといわれるからです。

借金は「苦労の種」と捉えられ、その苦労が万倍になると伝えられています。

人から物を借りることも同様に避けるのが無難です。

Q. 一粒万倍日と天赦日が重なる日は本当に特別ですか

A. はい、一粒万倍日と天赦日(天がすべてを赦す最上の吉日)が重なる日は「最強開運日」とも呼ばれ、とくに大きな決断や慶事に適した日取りとされています。

大安も重なればさらに縁起が良いとされますので、大切な日の候補としてぜひ検討してみてください。