「叶えたい」。
そう思ったとき、あなたの胸のなかではどんな感覚が動いていますか。
多くの方が、「まだないから欲しい」という気持ちから願いをスタートさせます。
何かが足りない。
いまはまだ叶っていない。
だから、なんとかして手に入れたい。
その気持ちはごく自然なものです。
でも、ここにひとつ、現実の動き方についての大切な仕組みがあります。
「まだない」から出発した願いは、いつまでも「まだない」という演目を舞台に乗せ続けてしまうということです。
逆に、「もうある」と知ることから始めたとき、現実はその「ある」の演目を忠実に映し出し始めます。
今日はこの「知る」というスイッチの科学を、ひもといてみたいと思います。
「欲しい」と「知っている」のちがい
私たちは日常のなかで、「欲しい」と「知っている」をほぼ同じものとして扱いがちです。
でも、この二つは心のなかでまったく異なる場所から生まれています。
「欲しい」の裏には、いつも「いまはない」が貼りついています。
まだ手にしていないから欲しい。
だから「欲しい」と思えば思うほど、あなたの思考は「ない」という現状を指さし続けます。
思考が向いた先へ現実は忠実に動くため、「ない」を見つめればその「ない」という場面が続いてしまうのです。
一方、「知っている」には不足がありません。
あなたがいま、自分の名前を知っているとき、そこに「欲しい」という感覚はないはずです。
名前はすでにあなたのものであり、それを疑う余地も握りしめる必要もない。
同じように、望む未来を「知っている」という状態に切り替えたとき、思考は「ある」を指さし、現実のほうがその演目を幕の上に広げ始めます。
知るとき、力みは自然に消える
ここで思い出していただきたいのが「対の真実」です。現実のスイッチは必ず働く。けれど、力みがそのスイッチを必ず止めてしまう。くわしくは「「必ず叶う」のに「力むと止まる」」をご覧ください。
では力みはどこから生まれるのでしょう。
その正体は、ほとんどの場合「まだない」という不足感です。
叶っていないからなんとかしなければ。
失いたくないから握りしめなければ。
この切実さがそのまま力みになります。
でも「知っている」という状態には、力みが入り込む余地がありません。
知っていることは握りしめる必要がないからです。
あなたは毎朝、太陽が昇ることを知っています。
でもそれを「どうか昇りますように」と握りしめたりはしませんよね。
知っていることは、手のひらを開いたまま持っていられる。
だからこそ「知る」は、力みの対極にあるスイッチなのです。
脳は「知っていること」を探し始める
人は誰でも、自分が「ある」と信じているものを世界のなかから見つけ出す性質を持っています。
新しい車を買おうと決めたとたん、街なかでその車種ばかり目につくようになった経験はありませんか。
これは脳のフィルター機能で、私たちは世界のすべてを見ているわけではなく、自分にとって意味のある情報だけを選び取っています。
何を「意味がある」と判断するかは、あなたが「知っていること」で決まります。
「私は愛されている」と知っている人は、日常の小さな思いやりに自然と気づきます。
「私にはチャンスがない」と思っている人は、同じ日常で閉ざされたドアばかり数えてしまいます。
見ている世界は同じなのに、フィルターを通して見える景色はまったく異なるのです。
そしてここが肝心です。
フィルターが変われば行動が変わり、行動が変われば現実のほうから返ってくるものも変わります。
知ることがスイッチになるのは、頭のなかだけの話ではなく、このフィルターを通して実際の現実が動き始めるからです。
「知っている」を体に落とし込む
とはいえ、「もう叶っていると知りましょう」と言われても、最初はなかなか実感が湧かないかもしれません。
頭ではわかっていても心がついてこない。
そんなときは、頭だけで「知ろう」としないことがかえって近道です。
以前ご紹介した「「すでに叶った」をリアルに感じる、五感イマジネーションのコツ」も、その手がかりのひとつ。五感を使って「ある」を感じることで、頭の概念が体で知る実感に変わっていきます。
もうひとつ、もっと身近な練習もあります。
日常のなかで、すでに「ある」ものに目を向けること。
朝、目が覚めた。
それだけでひとつの幕が上がっています。
コーヒーの香りを感じられた。
誰かの笑顔を見られた。
それらはすべて「ある」の証拠です。
あなたの役割は現実を作り出すことではなく、スイッチを起動させて、あとは現実のほうから幕が上がるのを受け取ること。
知ることはそのスイッチにそっと触れる指先のようなもの。
力はいりません。
ただ、触れるだけでいいのです。
今日の小さな実践
今日、一日のどこかでふと手を止めて、こう自分に問いかけてみてください。
「いま、私のなかに『もうある』と知っていることは何だろう」。
大きなことでなくてかまいません。
「今日も呼吸ができている」「あの人とのあいだには確かなつながりがある」「私はいま、この瞬間を生きている」。
そんな小さな「知っている」をひとつだけでいいから思い出してみてください。
それを握りしめずに、ただ「そうなんだ」と受け取ってみる。
その瞬間、あなたのフィルターはほんの少し動き、幕の向こうで何かが変わり始めます。
毎日のなかで、あなただけの「知る」の感覚を育てるヒントが欲しいときは、数秘で今日のあなたへのメッセージをのぞいてみませんか。