失ってから、あの人の良さが大きく見える
別れてから、あの人の良かったところばかりが思い浮かぶ。
一緒にいた頃は気にならなかった小さな仕草まで、いまは愛おしく見える。
もしかすると、あの関係はかけがえのないものだったのだと、後悔が押し寄せる。
でも、少し立ち止まってください。
その気持ちの正体は、本当に愛情だけでしょうか。
心には、失ったものを大きく見せる仕組みがあります。
授かり効果、手放したものほど価値が膨らむ
行動経済学に、授かり効果と呼ばれる傾向があります。
一度自分のものになったものは、手に入れる前より価値が高く感じられ、手放せなくなる。
それが授かり効果です。
ある実験が知られています。
ある人たちにはマグカップを渡して「いくらなら手放しますか」と尋ね、別の人たちには「いくらで買いますか」と尋ねました。
すると、すでに手にした人たちのほうが、およそ2倍の値をつける傾向が見られました。
同じマグカップなのに、自分のものになった瞬間から価値が膨らむのです。
関係も同じです。
別れによって、その人はあなたの手からこぼれ落ちます。
すると「失った」という感覚が、その人を、持っていた頃より大きく見せる。
見えなかった良さばかりが、今さら光って見えるのは、あなたが悪いからではありません。
心の仕組みが、そう見せているのです。
思い出そのものが美化される仕組みについては、元カレが忘れられない夜、思い出は美化されているでもお伝えしています。今回は、失ったものが大きく見える、もう一つの仕組みをお話ししました。
見分けたいのは、愛情か惜しさか
では、この気持ちの正体はどう見分ければいいのでしょう。
鍵は、それが「その人が好き」という愛情なのか、「失うのが惜しい」という力みなのかを、そっと分けることです。
授かり効果が生むのは、惜しさです。
そして惜しさは、力みになります。
力みは、望む現実のスイッチを止めてしまいます。
復縁したい気持ちのまま惜しさに握りしめている間は、現実は動きません。
逆に、惜しさを手放して、その人との関係をただ望む場面として選び直したとき、現実のほうから動き出します。
復縁が悪いと言っているのではありません。
大事なのは、その気持ちが愛情から来ているのか、失う怖さから来ているのかを知ること。
知るだけで、握りしめていた手がそっと開きます。
開いた手の先で、本当に望む場面を選べるようになるのです。
惜しさに握りしめると、つい追いかけたくなります。でも、追いかけるほど相手が遠ざかる仕組みは、恋愛、追いかけるほど逃げられるのはなぜかでもお伝えしています。
今日の小さな実践
今日は、その気持ちを二つに分けて書いてみましょう。
紙を真ん中で分け、左に「あの人の、好きだったところ」、右に「失うのが惜しいと感じること」を書き出します。
書き終えたら、右側だけを読み返してみてください。
惜しさのほうが勝っているなら、それは力み。
左側が胸に残るなら、それは愛情です。
どちらが見えたか、それだけで今日の気づきになります。
正体を見分けること自体が、もう新しい場面への第一歩です。
よくある質問
Q. 復縁したい気持ちは、愛情ではなく執着なのでしょうか
A. 必ずしもそうではありません。
愛情と惜しさは重なっていることが多く、どちらか一方に決める必要はないのです。
ただ、惜しさに握りしめている間は、相手の良さも自分の本当の気持ちも、ゆがんで見えやすい傾向があります。
Q. 授かり効果の話は、復縁をあきらめろということですか
A. そうではありません。
惜しさという力みを、うまく見分けるための話です。
正体を知って手を開いた先で、望む場面を選ぶかどうかは、その後のあなた自身の選択になります。
Q. 惜しさを手放すと、復縁のチャンスを逃しませんか
A. 逆です。
惜しさという力みを握りしめているほど、現実は動きにくくなる傾向があります。
手を開いて望む場面を選び直すことが、現実のほうから動き出すきっかけになります。
正体が見えたら、二人の縁を古典でそっと読んでみるのもよいでしょう。相性を古典で読む