スワイプしても、誰も選べない夜

夜、布団のなかで、マッチングアプリを開いていませんか。

スワイプしてもスワイプしても、新しい顔が次々と現れます。

気になる人は、ちゃんといるのです。

むしろ、みんな素敵に見える。

それなのに、「この人だ」と思える人が、どうしても見つからない。

気づけば一時間が過ぎていて、今夜も決められなかった、とため息をつく。

こんな夜、ありませんか。

そのとき、どうかご自分を責めないでください。

それは、あなたが優柔不断だからでも、理想が高すぎるからでもありません。

選びすぎることが、選ぶことを止めているのです。

なぜ選べないのか、その正体は選択過剰

この心の働きを「選択過剰」といいます。

選択過剰とは、選択肢が増えるほど、かえって選べなくなり、選んだあとの満足まで下がってしまう心の傾向のことです。

お店のジャムの研究が、これをよく示しています。

何十種類ものジャムを並べると、試食に立ち寄る人は増えるのに、実際に買う人は、種類が少ないときより減ってしまったのです。

候補が多すぎると、心は「選ぶ」ことをやめてしまいます。

そして、たとえ一つ選べたとしても、「もっと良いものがあったのでは」という思いが、選んだ喜びをそっと削ってしまいます。

マッチングアプリは、この選択過剰がいちばん強く働く場所です。

候補は、いくらでも供給されます。

右にスワイプした先に、もっと素敵な人がいるかもしれない。

そう思うほど、目の前の一人に、心を決められなくなります。

「もっと見つけなければ」という力みが、選ぶというスイッチを、そっと止めているのです。

「選ぶ」と知るだけで、出会いの場面は動き出す

では、どうしたらいいのでしょう。

答えは、候補を増やすことでも、条件を細かくすることでもありません。

ただ、「選ぶ」と知ることです。

私たちは、出会いの場面を「正解の相手を探す」ことにしてしまっています。

だから、候補を見るたびに「この人で正解なのか」と問い直し、そのたびに選べなくなってしまう。

でも、正解の相手は、外側のどこかに転がっているのではありません。

あなたが「この人を選ぶ」と心を決めた、その瞬間に、出会いの場面が、あなたの舞台に上がってくるのです。

似た心の働きは、ほかにもあります。「愛されない」という思いがフィルターになって、出会いを狭めてしまうことも。「愛されない」の舞台に立っていませんか?では、そのフィルターの外し方に触れています。同じ相手を選んでしまう癖については、恋愛でダメな人ばかり好きになるのは、あなたのせいじゃないもお読みいただけます。

今日の小さな実践

今夜から、ひとつだけ試してみてください。

アプリを開いたら、候補を三人だけに絞ってみます。

そして、そのうちの一人に、心のなかで「あなたに会ってみたい」と、言葉にして決めてみてください。

条件を比べるのではなく、ただ一人を選ぶ。

それだけで、出会いの場面は、そっと動き始めます。

選べるのに選べない夜は、選びすぎている夜です。

候補を増やすのをやめて、一人を選ぶ。

その小さな切り替えが、あなたの出会いの幕を上げる、いちばんやさしいスイッチになります。

よくある質問

Q. 候補を絞ると、いい人を逃してしまいませんか

A. 心配になるのは自然なことです。

でも、候補が多すぎると、人はかえって誰も選べなくなります。

絞ることは「逃す」ことではなく、選べる状態を自分に取り戻すこと。

実際に会ってみることで、画面では見えない手応えもわかってきます。

Q. 選んでも「もっと良い人がいたかも」と思ってしまいます

A. それこそが選択過剰の、選んだあとの満足を下げる働きです。

完璧な相手を探すのをやめ、「いま選んだ人と、これから会ってみる」とだけ心に置いてみてください。

満足は相手の情報ではなく、あなたが選んだという実感から育っていきます。

Q. プロフィールを見るだけで疲れてしまいます

A. 選択過剰による疲れは、心の力みのサインです。

今夜はスワイプの数を決めて、一人を選んだらアプリを閉じる。

それだけで、出会いへのエネルギーは少しずつ戻ってきます。

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